売上高総利益率とは
売上高総利益率の意味と計算式
売上高総利益率とは売上高と売上総利益の比率で、粗利率や荒利率ともいいます。売上総利益は売上高から商品を製造したり仕入れたりした費用を引いたものなので、売上高総利益率はその企業の持つ商品の強さを見ることができます。売上高総利益率の計算式は以下の通りです。
売上原価は製造業は製造原価、卸・小売業は仕入高
売上総利益とはメーカーなら製品の製造にかかる材料費や労務費と売価との差、販売会社なら仕入れ価格と売価との差になります。そこからさらに販売にかかる様々な費用が差し引かれますので、売上総利益はとりあえずの儲けの力といえるでしょう。
売上総利益の計算過程
売上総利益は各種利益の中で最初に求められる利益です。下の図は各利益の計算過程です。まずは売上高から売上原価が引かれて売上総利益が求められます。そこから販売費・一般管理費が引かれると営業利益に、営業外損益が引かれると経常利益に、特別損益が引かれると税引前利益に、法人税等が引かれると当期純利益となります。
売上高総利益率の活用の仕方
商品力の判断
扱う商品が利益を稼ぐ力、すなわち商品力があるかないかを見ることが出来ます。他社がまねできないような商品を扱う企業では総じて売上高総利益率は高くなります。
薄利多売か付加価値志向か
売上高総利益率が低くても商品回転率を高めることで、結果的に大きな利益を得る薄利多売か、売上高は少なくても、高い利益率を目指す付加価値志向かどうか、その企業の方向性を見ることが出来ます。商品回転率について説明すると、例えばある商品を50円で仕入れ100円で売った場合の利益は50円ですが、80円で仕入れて100円で3回売った場合は20×3で利益は60円です。このように原価が80円と高くても商品を複数回売る(回転させる)、すなわち商品回転率を高めることで利益率は低くてもより多くの利益を獲得することができます。商品回転率については
商品回転率、商品回転日数で詳しく解説しています。
売上高総利益率の業界平均
売上高総利益率は同業種であれば近づく傾向に
売上高総利益率は同じ業種であれば近い数値になる傾向にあります。というのも似たような商品を扱っているので利益率にも差が出にくいわけです。同業種によって差が出る場合は合理化の進展や付加価値の高い商品を扱っているなどの要因が考えられます。
比較は同業他社や過去の実績と
売上総利益は業界、業種、業態、扱う商品によって大きく異なります。以下は2015年度の各業界の平均売上総利益率のグラフです。医薬品は54.22%でガス・水道は34.79%と売上高総利益率の数値は高い一方で、自動車は16.06%、鉄鋼は11.17%と極端な差が見られます。このように業種や業界によって差が大きいので、使う場合は同業他社との比較や過去の業績との比較が有効です。
売上高総利益率の変化から問題点を探る
売上高総利益率が悪化してきた場合は何かしらの問題が隠れている可能性があります。商品が陳腐化して売価が下がってきて売り上げが落ちてきているのか、もしくは競合との競争が激しく値下げ圧力により売り上げ減に至っているのかなどの理由が考えられます。売上高総利益率の経年での変化を見ることは、企業の問題点の発見にもつながります。
売上高総利益率を改善するには
- 販売価格を引き上げる。
- 材料費などのコストの削減、仕入れ価格の引き下げ。
- 取扱商品の構成を変える。具体的には利益率の高い商品の取扱いを増やし、逆に利益率の低い商品の取扱いは減らす。
- 値引販売を行わない。売れ残りによる値引販売を回避するためには、適正な生産、仕入れの管理が必要。生産管理、購買管理がしっかりしている企業では売上高総利益率も総じて高くなる。
※参考資料
※実践編
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売上高営業利益率とは、計算式、業界平均について
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最終更新日 2017/09/22
公開日 2006/05/04
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