
はじめに
経常利益は会社の総利益から販管費などを引いた営業利益に、財務コストなどの営業外損益を加減して求めるもので、会社が経常的に稼ぐ利益のことです。経常利益伸び率は前期に比べて経常利益がどれだけ伸びたかを見る指標です。求め方は以下の式です。
経常利益伸び率 = | 当期経常利益 - 前期経常利益 | × 100 | 前期経常利益 |
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売上高伸び率とあわせて見る
経常利益伸び率は売上高伸び率とあわせて見ることが大切です。経常利益が増えていて売上高が増えている場合は売上と利益が順調に拡大していることが伺え、最も理想的な状況だといえます。経常利益が増えていて売上高が減少している場合は、売上原価や販管費、財務コストなどの費用の見直しにより売上高は落ちてはいるが利益は増えている状況だということがわかります。
経常利益が減少していて売上高も減少している場合は販売不振が考えられます。経常利益が減少して売上高が増加している場合は、売上高は伸びつつも売上原価や販管費などの費用増加が利益を圧迫し利益減少につながっているのか、利益を犠牲に売上単価を下げて売上増加につなげているのかといった事態が考えられます。
パターン | 売上高 | 経常利益 | 内容 |
増収増益 | UP | UP | 売上高も利益も順調に拡大 |
減収増益 | DOWN | UP | 売上低迷も経営効率化により利益拡大 |
減収減益 | DOWN | DOWN | 販売不振で売上も利益も減少 |
増収減益 | UP | DOWN | 売上拡大もコスト増が利益を圧迫 |
増収増益についてさらに細かく分析すると、売上高の伸びはそこそこで利益が大きく伸びている場合は、既存の商品の売上高が低迷していて売上拡大がさほど見られない一方で、競争力のある新商品が好調で、利益の拡大に大きく貢献しているようなケースが考えられます。他にも経営の合理化により利幅が増加したといったことも考えられます。売上高の伸びは大きいが利益の伸びは鈍化してきているような場合は、かつては主力だった商品の競争力が落ちてきていて、さらに他社も類似品を開発して市場に投入したことで価格競争が起こり、利幅が徐々に減少してきていることが考えられます。
売上高にしても利益にしても鈍化、もしくは減少に転じた場合は、これまで業績を支えてきた何かに陰りが生じてきていることが原因です。その原因をみきわめ対策を講じることが重要になります。
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継続的に伸びているか
売上高や経常利益は継続的に伸びていることが大事です。企業は継続的に事業を行っていくことが重要で、単年度の業績の上げ下げだけではその企業が真に強い企業かどうかを判断するには早すぎるからです。数年にわたり安定的に成長していればそれはひとつの実績となります。単年の伸びだけでなく数年にわたる業績の推移も見ることが大切です。
それから中・長期で見る場合、経常利益伸び率を継続的に伸ばすためにはやはり売上高伸び率も重要となってきます。短期であれば原価低減などにより売上を減少させても利益は向上させることは可能ですが、長期になると売上自体が伸びない限り利益を伸ばし続けることは困難です。例えば売上が100で原価が50の場合、原価低減の努力により売上が変わらなくても原価が40に下がれば利益は60になります。しかしながらこうして原価を下げて利益を増やしていっても原価を下げるのにはいずれ限界が来るからです。
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経常利益伸び率の使い方
経常利益伸び率は業界平均や競合他社との比較や、5年、10年といった中・長期の過去の実績との経緯分析などが有効です。
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各利益率と合わせて見る
経常利益伸び率は売上高経常利益率や総資本経常利益率と合わせて見るのも効果的です。例えば業績不振からの回復傾向にある企業は経常利益伸び率は高くても売上高経常利益率や総資本経常利益率はまだまだ低い水準にあることが多いからです。
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※参考資料
経営分析の基本
決算書 読解力の基本が身につく88の極意
経営分析入門―ビジネス・ゼミナール
これならできる!経営分析
[新版]経営分析の基本がハッキリわかる本
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text 2014/04/01
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