HOME > 活動性分析TOP > 棚卸資産回転率(回転期間)とは

棚卸資産回転率(回転期間)とは



棚卸資産回転率(回転期間)とは


はじめに

棚卸資産は在庫のことで在庫は一定数は必要ですが、多すぎる場合は問題があります。そこで今回は棚卸資産の数値が適正かどうかを見る指標である棚卸資産回転率、棚卸資産回転期間について詳しく見ていきます。棚卸資産回転率、棚卸資産回転期間の意味や計算式、見方や使い方、目安や業界平均などについて取り上げます。






棚卸資産回転率とは

棚卸資産回転率の意味

棚卸資産回転率とは棚卸資産の残高が適正かどうかをみる指標のひとつで、売上高と棚卸資産との比率から棚卸資産が効率的に活用されているかどうかを判断します。


棚卸資産とは何か?

棚卸資産とは在庫のことで、まだ販売されていない商品や製品、まだ製造が完了していない未完品である仕掛品や部品、資材などをさします。


棚卸資産回転率の計算式

棚卸資産回転率では1年間の売上高を棚卸資産で割って計算します。1年間の売上高が棚卸資産の何回転分になるのか、1年間で棚卸資産が何回転するのかをみて、棚卸資産の金額が適正なのか、棚卸資産が有効活用されているのかどうかを判断します。

棚卸資産回転率の計算式


棚卸資産回転率の見方

棚卸資産の額が多いと棚卸資産回転率は低くなります。例えば売上高が10として棚卸資産が4なら棚卸資産回転率は2.5回です。一方棚卸資産の額が少ないと棚卸資産回転率は高くなります。例えば売上高が10で棚卸資産が2なら棚卸資産回転率は5回となります。

棚卸資産回転率が低いすなわち棚卸資産が多すぎると資金の圧迫につながるほか、商品の陳腐化の危険性も生じてくるでしょう。逆に棚卸資産の回転率が高いすなわち棚卸資産が少なすぎると注文への十分な対応がとれず販売機会を逃すおそれがでてきます。



棚卸資産回転期間とは

棚卸資産回転期間の意味

棚卸資産回転期間は1年(365日)を棚卸資産回転率で割ったもので、棚卸資産回転率が1年間に棚卸資産が何回転するのかをみる指標であるのに対し、棚卸資産回転期間は棚卸資産が1回転するのに何日かかるのかをみます。この日数が棚卸資産が何日分の在庫量に相当するかを示しています。


棚卸資産回転期間の計算式

棚卸資産回転期間の計算式は日にちで表すものと月単位で表すものの2種類があります。計算式は以下の通りです。日にちで表す場合は売上高を365日で割り、それで棚卸資産を割って求めます。月単位で表す場合は売上高を12で割り、それで棚卸資産を割って求めます。棚卸資産が具体的に何日分、何カ月分なのかがわかりやすいのが棚卸資産回転期間のメリットの一つです。

棚卸資産回転期間の計算式


棚卸資産回転率を使って計算

棚卸資産回転期間は棚卸資産回転率がわかっていればもっと簡単に求められます。日単位の場合は365を棚卸資産回転率で割り、月単位の場合は12を棚卸資産回転率で割ると求められます。

棚卸資産回転期間の計算式その2


棚卸資産回転期間の見方

棚卸資産回転期間も長すぎると手持ち資金を圧迫したり、商品の陳腐化などのリスクが発生します。棚卸資産が短い場合は販売機会のロスなどのリスクが生じます。



棚卸資産(在庫量)の見方、考え方

棚卸資産は適正な範囲がいい

棚卸資産は多すぎても少なすぎても問題があります。それでは棚卸資産が多すぎた場合や少ない場合はどのような理由が考えられ、どのような問題や課題があるのかをそれぞれ見ていきます。


棚卸資産が適正な範囲よりも多い

商品・製品の売れ行きが鈍っていること、在庫管理が適切ではないことが考えられます。棚卸資産が多いとそれだけ資本が倉庫で眠っている期間が長くなり、その間資金は回収されないため、手持ち資金の圧迫にもつながります。


棚卸資産が適正値よりも少ない

商品・製品がほどよく売れている状態が考えられる。棚卸資産(在庫)は資本の運用形態であり少なければ少ないほど、倉庫にとどまることなく資本を効率的に回転させて運用している事になるためよいとされる。しかしながらそれにも限度があり少なすぎると販売増による突然の注文数の増加に対応できずに販売機会をロスする恐れがでてくる。


棚卸資産がまったくない

商品の人気の高まりにより販売に生産が追いついていない状態、もしくは生産ラインでの何らかのトラブルが考えられる。そのままの状態を放置しておくと取引先の不満が増大し、また消費者離れにつながる恐れもあるので対応が求められる。

棚卸資産の水準と問題点



不良在庫発見の糸口

棚卸資産には時間の経過と共にその価値が減少していくものが少なくありません。例えば流行遅れによる陳腐化や食料品などの品質の低下などです。こうした資産は通常なら期末に減損処理されます。しかしながら商品の陳腐化は判断が送れたり、見誤ったりすることもあるため、減損処理しきれない場合には棚卸資産は増加することになります。棚卸資産の適正度が見て取れる棚卸資産回転率を見ることはこうした不良資産の存在を発見する糸口ともなるのです。



棚卸資産回転率(回転期間)の目安と業界平均

業界平均との比較が有効

棚卸資産の適正水準は業種や業界、また各企業によっても異なります。自社の過去の事績や同業種の平均値などは一つの目安となります。そこで各業界の棚卸資産回転率と棚卸資産回転期間の業界平均について見ていくことのします。


棚卸資産回転率の業界平均

2016年度の全産業の平均値は13.5回となっています。非製造業が16.0回なのに対し、製造業は9.5回と棚卸資産回転率は低くなっています。非製造業よりも製造業の方が在庫である棚卸資産の回転が遅い、すなわち棚卸資産を多く抱えているようです。

2016年度の総資本回転率の全産業平均は0.89回となっています。各産業を見てみると、化学や鉄鋼などやはり巨額の設備投資が必要な業界は0.7回と総資本回転率が低くなっています。中でも電気業は発電設備や送電網など巨額の資産を抱えており、総資本回転率も0.47回と低くなっています。

自動車業界は棚卸資産回転率が23.5%と非常に高く、少ない在庫を効率的に回転させて経営を行っていることがわかります。一方鉄鋼や繊維、化学などは棚卸資産回転率は低いです。他の業種に比べて在庫である棚卸資産を多く抱えていることがわかります。

棚卸資産回転率の業界平均(2016年)


棚卸資産回転期間の業界平均

次に棚卸資産回転率を棚卸資産回転期間にしてみてみましょう。財務省・法人企業統計調査では棚卸資産回転期間は日単位ではなく月単位で計算されたものが掲載されていたので、今回は月単位の棚卸資産回転期間を見てみることにします。全業種の棚卸資産回転期間は0.89ヶ月分で、製造業は1.26ヶ月分、非製造業は0.75ヶ月分です。

自動車産業は0.51ヶ月分と約半月程度の在庫しか抱えていません。一方鉄鋼や繊維は2ヶ月分の在庫を抱えています。棚卸資産回転率で見た場合はこのように具体的に何ヶ月分の在庫なのかがわかりやすいです。

棚卸資産回転期間の業界平均(2016年)



棚卸資産を分解して分析

棚卸資産も販売会社なら商品のみですが、メーカーの場合はそのほか仕掛品や原材料なども含まれます。 棚卸資産の分類については以下に示した通りです。分類した項目それぞれに回転率を求めることでどの項目が棚卸資産全体の回転率に影響しているのかが明らかになり、より詳細な問題点の発見につながります。
棚卸資産の内訳
出荷可能 製造過程にあるこれから
商品
製品
半製品
仕掛品
未成工事支出金
原材料
貯蔵品



低在庫管理の盲点

これまでは少ない在庫で企業運営をすることが効率的だと叫ばれて来ましたが、少ない在庫での企業運営には突発的な事故や災害により生産・販売が立ち行かなくなってしまうというリスクもあります。

たとえば2001年にニューヨークの世界貿易センターで起きたテロ事件ですが、これにより航空便に頼っていた部品の輸送に混乱が生じ、その結果輸送が滞っただけですぐさま工場の操業停止に追い込まれる企業が数多くでたのです。工場に部品の在庫がすくなかったのが大きな原因とみられています。

在庫管理技術の向上や積極的なコンピューター導入などにより少ない在庫での企業運営が可能となった反面、突然の大きなトラブルにはもろいという弱点が露呈する結果となった事例です。今後は突発的なリスクにも柔軟に対応できるあらたな経営手法が求められてくるのではないでしょうか。



まとめ

今回は棚卸資産回転率と棚卸資産回転期間について見ていきました。棚卸資産は多すぎても、少なすぎても問題があり、適正な数値が望まれます。現在の棚卸資産の水準がどの程度で、問題があるのかどうかを判断するうえで、棚卸資産回転率や棚卸資産回転期間は便利な指標です。

棚卸資産が多いと商品が売れ残っていて資金が回収できず、会社の資金を圧迫したり、売れ残った商品が陳腐化するリスクがあります。逆に少なすぎると在庫が足りないことからせっかくの販売機会を失ってしまうリスクもあります。どの程度が適正水準なのかは業界平均なども参考にするといいです。




※参考資料
経営分析の基本
経営分析入門―ビジネス・ゼミナール
これならできる!経営分析
決定版 ほんとうにわかる経営分析
財務省・法人企業統計調査


※実践編


固定資産回転率 || 売上債権回転率、売上債権回転期間とは
TOPへ HOMEへ

最終更新日 2018/11/22
公開日 2007/07/04




活動性分析一覧














Copyright(C)2013 kain All Rights  Reserved
当サイトはリンクフリーです。掲載内容の無断転載はいっさい禁止します。