![]() 売上高各利益率で分析 | ||
経営分析のススメでは、これまで様々な指標について取り上げてきましたが、実践編ではそうした指標を使って実際に各業界の企業分析を行っていきます。今回取り上げる業種は2012年度の自動車業界です。 ■今回使う指標 売上高総利益率、売上高営業利益率、売上高当期純利益率 |
売上高総利益率はその企業の持つ商品の稼ぐ力を表しています。自動車業界なら商品である自動車の収益力をみることが出来ます。この指標が高ければそれだけ他社より高い収益性を持つ商品をもっているということになります。 総利益がその商品が持つ稼ぐ力であるのに対し、営業利益は販菅費が差し引かれたものです。人がいなければ企業は成り立ちませんので、販菅費がゼロになるということはないでしょうが、商品自体が持つ収益力を見るときには売上高総利益率が有効な指標となります。
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売上高総利益率と売上高営業利益率の差が売上に占める販菅費の割合になります。
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売上高当期純利益率は経済誌や新聞などの業績欄でよく目にする指標ですが、当期純利益には特別損益が含まれているので、その企業の本来の収益力を見る上では営業利益や経常利益には劣るといえます。しかしながら当期純利益は特別損益はもちろんのこと法人税なども控除した最終的な利益であり、これが株主への還元への原資となるので投資家からの関心も高くなります。 売上高税引前当期純利益率と売上高経常利益率の比較では、そこに大きな差があれば特別損益の存在が疑われます。経常利益が少ないのに税引前当期純利益が多ければ何か特別な利益が特別損益に計上されている可能性があり、逆に経常利益に比較して税引前当期純利益が極端に少ない場合は大きな特別損失の存在が疑われます。ここでは売上高税引前当期純利益率と売上高営業利益率を比較しますが、当期純利益と営業利益との差では特別損益だけでなく経常損益も含まれるので、両者の比較だけでは特別損益のみが過大であるかどうかを判断する事はできません。なぜなら経常損益のほうが過大であるかもしれないからです。しかしながら経常損益にしろ特別損益にしろそれと営業損益の開きが大きければ何らかの問題を内紛している可能性はありますので両者の差をはっきりさせることは決して無駄ではありません。
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