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ROAで分析




投下資本の収益性

企業に投下された資本でどれだけの収益を上げることができるのかを見る指標の一つが総資本経常利益率(return on assets ROA)です。今回はホームセンター業界を対象に総資本経常利益率を使って企業分析を行っていきます。

■今回使う指標
総資本経常利益率(ROA)
総資本回転率
売上高経常利益率
売上高営業利益率
売上高総利益率



総資本経常利益率を見てみる

まずは各社の総資本経常利益率を見てみましょう。総資本経常利益率は10%はあれば理想ですが、じっさいは全業種平均で3%程度が実情です。ホームセンター業界ではDCM、コメリ、ナフコが約5%とまずまずの数値です。コーナンが3.8%と5社の中では見劣りします。そんな中ニトリ1社だけが19.7%と、他社を大きく引き離す高い数値を示しています。資本をかなり効率的に運用し、利益を生み出していることがわかります。

DCMニトリコメリコーナンナフコ
総資本経常利益率4.9%19.7%6.6%3.8%5.6%



分解して問題点を検証

総資本経常利益率は総資本回転率と売上高経常利益率に分解して分析することができます。これは総資本経常利益率の分子と分母にともに売上高をかけて分解したもので、この二つの指標を掛け合わせるともとの総資本経常利益率になることから、それぞれの指標を改善すれば、結果総資本経常利益率も改善することになります。このことから総資本回転率と売上高経常利益率の両指標を分析することで、両指標のどこに問題点があるのか、または強みがあるのかを明らかにすることができます。

総資本回転率は、少ない資本をたくさん回転させてどれだけたくさんの売上高をあげれるかという資本の活動性を見る指標です。総資本回転率を改善するには不良資産か負債の圧縮を進めて資本をスリム化するか、売上を向上させるかのどちらかもしくはその両方が必要です。売上高経常利益率は売上に対してどれだけ利益を上げることができたか、企業の持つ商品やサービスの競争力や収益力を見る指標です。売上高経常利益率はあわせて売上高総利益率と売上高営業利益率とともに見ることでより問題点や強みが明らかになりますが、それは次に見ることにして、まずは総資本回転率と売上高経常利益率について見ていくことにします。

総資本回転率は1回転していればまずまずの数値です。ホームセンター業界の5社はいずれも1回を上回っており資本を効率的に活用し売上につなげていることがわかります。次に売上高経常利益率ですが、コメリとナフコは5〜6%と5社の中ではまずまずです。3.8%と3.7%のDCMとコーナンはやや見劣りします。そんな中ニトリはここでも16.3%と群を抜く高い数値を記録しています。

DCMの総資本経常利益率は4.9%と5社の中ではほどほどの数値ですが、総資本回転率と売上高経常利益率に分解して分析してみると、高い総資本回転率と低い売上高経常利益率の結果によるものだということがわかります。このことからDCMは売上高経常利益率の改善が業績回復の鍵になるものと思われます。コメリとナフコは総資本経常利益率が6.6%、5.6%と5社の中ではまずまずの数値です。総資本回転率は1.09回と1.08回でこれもまずまずの数値です。売上高経常利益率も6.0%、5.3%と5社の中ではそれほど悪くもありません。業界内での平均的な総資本経常利益率は、どちらも業界内で平均的な総資本回転率と売上高経常利益率によってもたらされていることがわかります。総資本経常利益率が3.8%と最も低いコーナンは、総資本回転率は1.02%と他の4社とさほど違いはありませんが、売上高経常利益率が3.7%と最も低いので、これが総資本経常利益率の低さの大きな原因となっていることがわかります。

最後にニトリについて見ていきますが、こちらは総資本回転率は1.20回と他の4社と比較してもさほど違いはありませんが、売上高経常利益率が16.3%と特に高い数値を示しています。高い収益性が総資本経常利益率の高さを支えていることがわかります。他の4社がニトリとの差を縮めるためにはなにより売上高経常利益率を改善することが必要であるといえるでしょう。

DCMニトリコメリコーナンナフコ
総資本経常利益率4.9%19.7%6.6%3.8%5.6%
総資本回転率1.28回1.20回1.09回1.02回1.08回
売上高経常利益率3.8%16.3%6.0%3.7%5.3%



売上高利益率をさらに細かく分析

売上高利益率の差がどこにあるのかをさらに詳しく分析するために、売上高各利益率も見ていくことにします。まず断トツの収益性のニトリですが、売上高総利益率の段階で52.0%と各社を引き離しています。これは商品やサービス自体に競争力があり高い売上総利益を稼ぎ出していることが要因だといえます。他の4社は30%台と各社ともにそれほど差はありません。ニトリだけが断トツで売上総利益が高いのです。ここが売上高利益率の違いを生む最大の要因となっているといえるでしょう。残りの4社の中ではコーナンとナフコが35.9%、33.4%と比較的高い数値を示しています。

次に売上高総利益率と売上高営業利益率の差を見てみると、DCMは売上高総利益率が低いため売上高営業利益率もそれに引っ張られ4社の中では最も低い数値となっています。逆にコーナンは売上高総利益率はニトリには及ばないものの4社の中では一番高い数値であるにもかかわらず、売上高営業利益率になると4.4%とDCMにつぐ低い数値となっており、販売費や管理費などの営業外損益が他社と比較して業績の足かせになっていることが伺えます。ここら辺のスリムアップがコーナンの業績改善の鍵となるのではないでしょうか。コメリは売上高総利益率が5社の中で下から2番目にもかかわらず、売上高営業利益率になると6.2%とニトリを除く4社の中では最も高い数値となっています。これは他社よりも販売費、管理費を抑えていることが理由と考えられます。

売上高営業利益率と売上高経常利益率では各社ともそれほど大きな差はないので金融収支などの営業外収益があまり業績に影響していないことがうかがえます。このように売上高利益率を細かく分析していくことで、収益のどの部分に問題や強みがあるのかをよりはっきりさせることができます。

DCMニトリコメリコーナンナフコ
売上高経常利益率3.8%16.3%6.0%3.7%5.3%
売上高営業利益率3.8%16.2%6.2%4.4%5.1%
売上高総利益率29.6%52.0%31.3%35.9%33.4%



各社の財務データ(2013年・百万円)


DCMニトリコメリコーナンナフコ
総資本333,937321,703296,811268,967216,129
経常利益165,2663,47419,62610,25112,260
営業利益166,8563,07320,24611,99011,905
売上高総利益127,082201,656102,03698,15777,794
売上高428,324387,605325,222273,797232,662
総資本経常利益率4.9%19.7%6.6%3.8%5.6%
総資本回転率1.28回1.20回1.09回1.02回1.08回
売上高経常利益率3.8%16.3%6.0%3.7%5.3%
売上高営業利益率3.8%16.2%6.2%4.4%5.1%
売上高総利益率29.6%52.0%31.3%35.9%33.4%




※参考資料


PBRで分析 || 損益分岐点で分析
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text 2014/07/27




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