HOME > 実践編TOP > 流動比率・当座比率で分析

流動比率・当座比率で分析




収益性と安全性を見る

今回は企業の安全性を見る指標である流動比率と当座比率を使ってみたいと思います。これらはそれぞれ銀行家比率、酸性試験比率などとも呼ばれ、昔から金融機関の融資先企業への信用調査などに使われてきました。今回はビール業界を例に指標を使って安全性分析を行っていきます。

■今回使う指標
流動比率当座比率



流動比率で分析

まずは各社の流動比率について見ていきます。流動比率は200%あれば理想的ですが、140%を超えてくれば十分健全な範囲です。それ以下となってくると安全性の部分で課題を抱えていると判断できますが、実際の企業では100〜120%代も多く存在しているのが実情です。それでは各社の数値を見ていきます。

キリンビールアサヒビールサントリーサッポロ
流動比率110%78%132%57%
4社の中ではサントリーが流動比率が一番よいのですが、それでも140%には届きません。ただし140%近いのでかなり良好ではあります。問題はアサヒビールやサッポロビールです。まず100%を割り込んでいる時点でかなり問題があるといえるでしょう。流動比率を改善するための早急な対策が必要です。



流動資産の内訳

次に各社の流動資産の内訳について見ていきます。流動資産には現金や預金のように現金そのものと、受取手形や売掛金などのように比較的すぐに現金化できるもの、商品や仕掛品、原材料などのように製造や販売などの過程を経てはじめて現金化されるものが含まれています。安全性という部分では現金と預金が最も高く、ついで受取手形や売掛金がつづきます。商品や原材料は現金化されるまで時間がかかるので安全性の面では下になります。

また受取手形や売掛金には不良債権化のリスクがあり、商品や原材料には不良在庫や不良資産化へのリスクが存在します。このことから流動資産に占める各資産の割合にも注意が必要です。それでは各社の数値を見ていきます。

キリンビールアサヒビールサントリーサッポロ
流動資産789,496529,189753,283138,258
現金・預金83,916
(11%)
34,573
(7%)
228,128
(30%)
9,755
(7%)
受取手形及び売掛金413,138
(52%)
317,008
(60%)
265,659
(35%)
83,581
(60%)
商品及び製品122,159
(15%)
79,152
(15%)
144,002
(19%)
20,372
(15%)
仕掛品32,684
(4%)
12,353
(2%)
原材料及び貯蔵品51,658
(7%)
34,366
(6%)
27,372
(4%)
12,072
(9%)
その他85,939
(11%)
64,087
(12%)
75,767
(10%)
12,476
(9%)
ここでもサントリーの優等生ぶりが際立ちます。流動資産に占める現金・預金の割合が他の3社だと1割からそれ未満でしかないのにたいし、サントリーでは3割にも達しています。流動資産の内容で見てもサントリーの安全性の高さが一歩抜きん出ていることがわかります。不良債権化のリスクがあるものの、比較的現金化しやすく安全性の高い受取手形や売掛金まで含めると各社とも6割ぐらいと横並びにはなります。



当座比率で分析

流動比率よりもさらに厳密に安全性を見る指標が当座比率です。当座比率では流動資産の中でもさらに安全性の高い現金・預金、売掛金や受取手形などからなる当座資産を用いて安全性をチェックします。では実際に使って見ます。

キリンビールアサヒビールサントリーサッポロ
当座比率69%52%86%38%
100%を超えていれば理想的な数値だとはいえますが、サントリーの86%も十分健全な数値であるといえるでしょう。当座比率で見た場合もやはりキリンビールやアサヒビールは見劣りしますが、中でも50%を切っているサッポロビールは流動比率に続き問題のある数値だといえます。そもそも当座比率よりも甘い安全性基準である流動比率の時点でかなり深刻な数値であったわけですから、より厳しい基準である当座比率でも低い数値となるのは当然といえば当然です。

ここまで流動比率と当座比率、流動資産の中身を見てきましたが、安全性の高さではサントリーが頭1つ抜き出ていて、一方でサッポロビールがかなり問題のある数値であるということがわかる結果となりました。



各社の財務データ(2012年・百万円)


キリンビールアサヒビールサントリーサッポロ
流動資産789,496529,189753,283138,258
現金・預金83,916
(11%)
34,573
(7%)
228,128
(30%)
9,755
(7%)
受取手形及び売掛金413,138
(52%)
317,008
(60%)
265,659
(35%)
83,581
(60%)
商品及び製品122,159
(15%)
79,152
(15%)
144,002
(19%)
20,372
(15%)
仕掛品32,684
(4%)
12,353
(2%)
原材料及び貯蔵品51,658
(7%)
34,366
(6%)
27,372
(4%)
12,072
(9%)
その他85,939
(11%)
64,087
(12%)
75,767
(10%)
12,476
(9%)
流動負債718,137680,068572,794243,146
流動比率110%78%132%57%
当座比率69%52%86%38%




※参考資料


ROEと自己資本比率で分析 || 固定比率で分析
TOPへ HOMEへ

text 2013/11/28




実践編一覧















Copyright(C)2013 kain All Rights  Reserved
当サイトはリンクフリーです。掲載内容の無断転載はいっさい禁止します。