HOME > 実践編TOP > ROEと自己資本比率で分析

ROEと自己資本比率で分析




収益性と安全性を見る

今回は企業の収益性を見る指標のひとつであるROE(自己資本当期利益率)とそれとの関連で安全性を計る指標である自己資本比率を使って企業分析を行っていきます。今回取り上げる業種は家電業界です。

■今回使う指標
自己資本当期利益率(ROE)自己資本比率



ROE(自己資本当期利益率)を分析

まずは株主が投資した資金で効率よく利益を稼いでいるかどうかを見る指標であるROEを使って各社の収益力をみていく事にしましょう。

ソニー日立キャノン東芝三菱電機
ROE1.98.414.08.95.3
5社の中ではキャノンがとび抜けていて、ついで東芝、日立、三菱と続きます。この中ではソニーの低さが目立ちます。株主資本を有効に使って利益を稼ぐという点ではキャノンが優れていて、ソニーが大きく見劣りしていることがわかります。



自己資本比率で分析

自己資本(株主資本)は他人資本と違い返済義務や利息支払い義務はありません。配当支払い義務はありますが、業績に応じて無配当とすることもできるので、業績悪化時には他人資本とは違い余計な負担を受けずにすみ企業体力をすり減らす心配がなくなります。よって自己資本比率が高いほど業績悪化などに対する抵抗力・企業体力が高いと判断できます。それでは5社の自己資本比率を見てみましょう。

ソニー日立キャノン東芝三菱電機
自己資本比率15.421.263.415.038.1
ここでもキャノンの数値の高さが目立ちます。もともと日本企業は総資本に占める負債の割合が高く、資本調達を借入金に依存する傾向が強かったため、自己資本比率は全体としてもそれほど高くはありません。大企業でキャノンほど自己資本比率が高い企業もそんなに多くはないのです。キャノンの自己資本比率の高さは以前から定評でしたが、最近では好業績を背景に三菱電機も自己資本比率を高めてきています。日立は出遅れていますが徐々に自己資本比率を高めてきているようです。ここでも見劣りするのはソニーで、東芝も自己資本比率はソニーと並んで低い数値となっています。両社とも今後の改善が必要だといえます。



ROEと自己資本比率

ROEは分母である自己資本が小さければ小さいほど高くなり収益性も一見良く見えます。しかしながら自己資本が小さいという事は自己資本比率の低下をも意味しますのでそれは同時に企業体力の低下にもつながります。ROEだけではなく自己資本比率もチェックしなければ収益性を正確に見極めることはできないのです。適度な自己資本比率を維持した上でのROEというのが重要なのです。そこで今度は5社のROEと自己資本比率を見て見ましょう。

ソニー日立キャノン東芝三菱電機
ROE1.98.414.08.95.3
自己資本比率15.421.263.415.038.1
キャノンは自己資本比率が高い上にROEも高いので文句のつけようがありません。これほど高い自己資本比率でありながら、ROEも高いのですから、自己資本比率が高くてさらに利益もしっかりと稼いでいることがわかります。安全性、収益性の部分でかなり競争力がある企業だといえます。

ROEでは見劣りする三菱電機ですが、これは1つに自己資本比率の高さが要因となっているので、収益性の部分ではキャノンには劣りますがそこまで悪いわけではありません。逆に東芝や日立はROEは三菱電気よりも高いのですが自己資本比率が低いので、自己資本比率を三菱電機並みに改善していくとROEは三菱電機よりも低くなるでしょう。このように片方の指数だけでなくROEと自己資本比率の両方の指数をチェックすることが重要になります。最後にソニーですが自己資本比率が低い上にROEも低い数値となっています。安全性、収益性の部分で今後大きな改善が必要だといえるでしょう。



自己資本の中身の分析

自己資本(株主資本)は大きく資本金とそれ以外の準備金や前期繰越利益などに分けることが出来ます。資本金には配当義務がありますがそれ以外の部分にはありませんので、自己資本も資本金の割合が低いほどより企業体力の向上に寄与する事になります。そこで5社の自己資本の中身に付いて見てみましょう。

ソニー日立キャノン
自己資本2,197,7662,082,5601,593,998
資本金630,923458,790174,762
準備金・前期繰越利益2,212,8281,993,6692,230,909


東芝三菱電機
自己資本863,4811,300,070
資本金439,901175,820
準備金・前期繰越利益993,0571,217,972
自己資本に占める資本金の低さはここでもキャノンが際立っています。好業績を背景に準備金を潤沢に積み立ててきた結果でしょう。三菱電機や日立も資本金の割合が低く、各種準備金をしっかりと積み立てているので資本の内訳は比較的優良だといえます。この中で見劣りするのが東芝です。他者と比べると自己資本に占める資本金の割合が高く、準備金も少ないので十分な積立が進んでいないことがわかります。しっかりと利益を確保して準備金を積み増していき、資本金の割合を下げていくことが必要でしょう。



各社の財務データ(2012年・百万円)


ソニー日立キャノン
当期純利益43,034175,326224,564
自己資本2,197,7662,082,5601,593,998
資本金630,923458,790174,762
準備金・前期繰越利益2,212,8281,993,6692,230,909
総資本14,206,2929,809,2302,511,608
ROE1.98.414.0
自己資本比率15.421.263.4


東芝三菱電機
当期純利益77,53369,517
自己資本863,4811,300,070
資本金439,901175,820
準備金・前期繰越利益993,0571,217,972
総資本5,752,7373,410,410
ROE8.95.3
自己資本比率15.038.1




※参考資料


売上高各利益率で分析 || 流動比率・当座比率で分析
TOPへ HOMEへ

text 2013/10/29




実践編一覧















Copyright(C)2013 kain All Rights  Reserved
当サイトはリンクフリーです。掲載内容の無断転載はいっさい禁止します。