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財務キャッシュフローがプラス、マイナスとはどういう意味か



財務キャッシュフローとは


企業は営業活動や投資活動によって資金が不足した場合、財務活動により資金を調達します。財務活動では銀行からの借り入れや資本市場での株式の発行などにより資金を調達します。こうした財務活動によるキャッシュの流れを見るのが財務キャッシュフローです。財務キャッシュフローでは資金不足の際の資金の調達手段と返済方法の中身を明らかにします。

また営業活動や投資活動がプラスに転じ本業でしっかりと収益を確保した場合、その余剰資金をどのように活用したのかについても示しています。



財務キャッシュフローの項目


財務キャッシュフローを構成する項目は以下の通りです。短期・長期借入金の調達、返済、社債の発行、償還は他人資本による資金の調達とその返済の中身を表します。株式の発行、自己株式の買い入れ、配当金の支払いは自己資本による資金の調達と資本に対するコスト(配当金)の支払いの中身を表します。

・短期借入金の調達、返済
・長期借入金の調達、返済
・社債の発行、償還
・配当金の支払
・株式の発行
・自己株式の買い入れ

キャッシュフロー計算書
. 財務活動によるキャッシュフロー
短期借入れによる収入
短期借入金の返済による支出
長期借入れによる収入
長期借入金の返済による支出入
社債の発行による収入
社債の償還による支出
株式の発行による収入
自己株式の取得による支出
親会社による配当金の支払額
少数株主への配当金の支払額

10,000
-2,000
15,000
-3,000
4,000
-1,000
11,000
-3,000
-2,000
-4,000
小計 25,000



本業の動向に影響を受ける


企業は本業が不振で十分にキャッシュを稼げなくなると、外部からの資金調達が増え、その結果財務キャッシュフローはプラスになります。一方本業が順調でしっかりとキャッシュを稼げていれば、借入金の返済に十分にキャッシュを当てることができ、その結果財務キャッシュフローはマイナスの傾向になります。このように本業の動向によって資金需要や返済余力が変化するため、その結果財務キャッシュフローも影響を受けるわけです。



財務キャッシュフローの成長段階の影響


財務キャッシュフローがプラスになるかマイナスになるかは、その企業の成長段階にも大きく左右されます。成長段階では営業キャッシュフローが少ない反面、投資需要は大きいので資金需要も当然大きく、財務キャッシュフローによる資金調達が、返済を上回るのが常態です。 対して成熟段階では十分な営業キャッシュフローがあり、投資需要も少ないので、資金需要が小さく、財務キャッシュフローによる資金調達よりも、株主還元や借入などの返済額の方が上回るのが一般的でしょう。



財務キャッシュフローの中身の見方


財務キャッシュフローは株主への対応と、企業の事業実態の判断に役立ちます。 配当金や自己株式の取得状況からは、株主重視の姿勢が判断できます。資金調達の背景分析では、その原因により判断が別れます。これらはなかなか外からでは判断は難しいところですが、 営業活動のマイナスを補うものなら、営業活動の問題が考えられ、 借入返済によるものなら、投資資産が現在十分なキャッシュを生み出していない、 すなわち過去の投資の失敗が考えられます。 設備投資によるものなら、まず将来の創出キャッシュフローを考慮して、 過大な投資でないかどうかを見極める必要があります。



資金の調達先と安全性との関係


投資による資金需要の増加などによる資金不足を補うために、財務キャッシュフローで資金調達を行いますが、調達先には他人資本と自己資本があります。他人資本とは借入金や社債などで返済義務を負います。一方自己資本は株式発行による資金調達で、こちらは返済の義務はありません。自己資本にも配当金の支払いが必要ですが、こちらは業績が悪化した場合には無配当にすることも可能です。企業業績が好調であれば借入金の返済も負担にはなりませんが、業績が悪化した場合にはその負担も大きくなります。この点業績悪化時に無配当にできる自己資本の方が安全性は高いのです。こうした安全性を見る指標として自己資本比率があります。

財務キャッシュフローの調達先に自己資本(株式の発行による収入)も絡めることで自己資本比率も高まり、安全性も改善します。



増資について


増資には有償増資と無償増資の二つがあります。有償増資は投資家からの払込金を受けて新株を発行するものです。一方無償増資は今ある資産を振り替えて新株を発行するものです。無償増資では利益準備金や資本準備金などの法定準備金を資本金へと振り替えます。このように新株を発行して資金を調達することをエクイティ・ファイナンスともいいます。



借入金や社債の返済期間について


借入金には1年以内に支払期限が来る短期借入金と1年以上先に支払期限が来る長期借入金があります。社債にも同様に1年以内に支払期限の来る短期社債と、1年以上の長期社債があります。返済期限は長ければ長いほど、支払いまでに猶予があるので資金的な余裕が生まれ、企業の安全面では有利だといえます。このため財務キャッシュフローでも短期借入金や短期社債よりも長期借入金や長期社債の比率の方が高い方がより安全性は高くなるといえます。社債に関しては短期、長期で分けて掲載されていないことも多いため、この場合はどちらの比率が高いのかは外部からは判別できません。



財務内容の改善の意義


営業活動でしっかりとキャッシュを稼げている場合はその余剰資金をどのように使うかも重要となってきます。将来の成長のための投資に充てることも重要ですが、財務内容の改善のために使うことも重要となります。財務的に厳しい会社は不況期には銀行などからの資金調達も難しくなってくるため、事業展開も大きく制限されてしまうものです。一方財務内容がよく、資金的にも余裕のある会社は不況期でも自己資金で事業展開を行うことができるため、不況期に積極的に投資することで、大きな成長のチャンスをつかむ可能性があります。

営業キャッシュフローがしっかりと稼げているときに、投資活動だけでなく財務内容の改善にもしっかりとキャッシュを振り分けているかどうかが会社の持続的な成長のためにも重要となるのです。例として薬品業界のケースを見てみましょう。財務キャッシュフローがマイナスなのは借入金や社債の返済、株主への配当などにキャッシュを振り分けているためです。営業キャッシュフローを投資と財務内容の改善に使っている様子がわかります。

2001年(百万円)大手総合医科向け大衆薬
営業CF72,76711,93010,421
投資CF-12,564-992-5,270
財務CF-18,950-3,435-5,060




※参考資料
キャッシュフロー経営の基本
誰でもわかるキャッシュフロー会計のしくみ
決算書の読解力の基本が身につく88の極意
ビジネスゼミナール経営分析入門


フリーキャッシュフロー(FCF)の意味と計算方法について || 営業キャッシュフロー対流動負債比率、対長期負債比率
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最終更新日 2016/07/31
公開日 2007/08/15




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